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「裏読み・ケータイビジネス」
internet.com

vol 5. 「BREW」その将来性は?
(2003年 2/4)


 1月29日、KDDIは、かねてより一部の端末で採用されていたアプリケーションプラットフォーム「BREW(Binary Runtime Environment for Wireless)」を、今後発売するauの第3世代携帯電話機に順次導入していくと発表しました。(詳細:KDDIニュースリリース
 携帯電話に搭載するアプリケーションとしては、今までKDDIは、NTTドコモのJava「iアプリ」の後塵を拝してきました。現在、ドコモのiアプリ対応モデルは約1600万台が出荷されていますが、これはKDDIのJava搭載端末約400万台の約4倍にも当たる数です。今後、KDDIはローエンドの機種に対しても、BREWサービスを搭載していく方針であり、年間で700万台程度のBREW対応端末を出していくとしています。
  つまり、1年後には700万台ほどが「BREW対応ケータイ」となるというわけです。
 このBREW、ケータイビジネスに関わる我々はどのように捉えるべきでしょうか。そして、BREWの将来性はどうなのでしょうか?

◎疑問残る「Javaとの2本立て」展開

 記者発表会の説明を聞いていて気になったのは、今後決して、「auのすべての端末がBREW対応になるわけではない」ということです。
 このあたりは、多分にBREW を提供しているQualcomm社とのライセンスの事情があるのだと思いますが、製品セグメントとして「ローエンド」の端末にはBrewを搭載するが、ベースバンドチップ(パソコンのCPUにあたる、通信などを司る携帯電話のメインチップ)のほかに、アプリケーション専用のサブプロセッサを搭載するような、いわゆる「ハイエンドモデル」については、従来通りJavaが搭載されるそうです。
 つまり、KDDIのケータイアプリは、今後2つのプラットフォームが並存することになるのです。
 ケータイのアプリ市場を、パーソナル市場と法人市場に分けて考えた場合、今後次第に法人分野は開拓されていくとしても、今のところ主流は圧倒的にパーソナルユースです。(そうでなくても元来アプリに関係なく、法人契約の携帯電話では、KDDIはドコモに比べて圧倒的にシェアが少ない)そうなると、素朴な疑問として沸き起こってくるのは、「ケータイでアプリケーションを使いたい」というユーザー層は、比較的携帯をハードに使うユーザーですので、ハイエンドモデルを購入する確率も高いはずなのですが、そうしたハイエンドユーザーは、BREWの高性能の恩恵を受けられないということになるわけです。このあたり、KDDIはどのように考えているのでしょうか。
 今後、au向けのアプリを開発するコンテンツプロバイダなどは、1年後あたりにBREWとJavaとの比率がどうなっているか、当然気になるところでしょう。携帯電話におけるKDDIの市場シェアが、今後もそれほどの変動がないと仮定すれば、1年後には、巷で稼動している端末の比率は、「BREW:2」に対して、「Java:1」ぐらいになってしまう可能性も十分ありえます。
 ところが、今までアプリケーションを多く使ってくれていたヘビーユーザーは、むしろJava対応のハイエンド端末を買う可能性も高いことになります。両者は記述する言語も大きく違いますので(BREWはC++)、アプリケーションの移植はそう簡単ではありません。このあたり、BREWとJava、一体どちらに狙いを定めるべきか、大変に悩むところなのではないでしょうか。
 このあたりの動向を占う上では、今後、ハイエンドモデルに対してもBREW搭載の動きがあるのかどうかを注視しておくべきだと思います。しかし、正直なところ私は、CP(コンテンツプロバイダ)さんなどに意見を求められても、現状でBREWに全力投球すべきなのかどうか判断できないでいます。一つ言えるとすれば、「少なくとも今年(2003年)は、BREWアプリ市場の本格的な立ち上がりは期待できないだろう」ということぐらいでしょうか。ウエイトがBREWとJavaで分散されるわけですから、そんなに早期の立ち上がりが実現するとは思えません。
 ただし、携帯電話のアプリケーションには、家庭用ゲーム機用ソフトなどと同じく、『早期参入メリット』というものがあるのも事実です。まだ競合者が少ない段階ならば、BREWで良いアプリケーションを出すことができれば、一定の期待値も望めるでしょう。
 しかしハッキリ言って、もしこのコラムを読みながら、「BREWどうしようかなぁ」などと思っているのならば、早期参入メリットを享受するにはもう遅すぎます。(笑)それならばむしろ、BREWにおいて今後期待される、法人ソリューションの分野や国際的なサービス展開に対して、じっくり戦略を立てて取り組むほうが得策ではないか、僕個人はそう思います。

◎法人市場、そして国際展開に期待?

 BREWにおいては、法人ソリューションの分野においても多くの可能性が言われています。ただし、先ほども言ったように、もっともネックになるのは、法人分野ではアプリ以前に「KDDIの携帯電話自体のシェアが少ない」ということです。少なくとも現状のKDDIは、法人市場においてはパーソナル市場以上に、シェア面で不利なのです。
 特に今回は、BREWの活用法として、外回りのホワイトカラービジネスマンなどを支援するソリューションなどが出ていました。ホワイトカラービジネスマンは、もともとドコモのシェアが高いところですから、BREWの優位性うんぬん以前に、まずは「果たしてBREWの利便性のためだけに、キャリア契約までを乗り換えてくれるのか?」という難問が控えています。単に「BREW」という新しいインフラを強調するだけのソリューションでは厳しいだろうと言わざるを得ません。それによって得られる、明確なコスト優位性や利便性が必要なはずです。
 今後1年ほどで、法人ソリューションを使うユーザーがドコモからKDDIに乗り換える大きなキッカケがあるとするならば、KDDIの方が圧倒的に優れている分野、たとえばGPSなどが活かされているかどうか、そして、2003年秋にスタート予定の新しい方式「cdma2000 1x EV-DO」の導入でしょう。EV-DOでは、パケット通信コストがかなり下がると言われています。(定額制ではない)前回のコラムでも述べたように、インフラが変わって通信コスト体系が変化すれば、そこで提供されるサービスのコンピタンス(競争力)は、大きく変わってくる可能性があります。特に、大人数が同時に使用して、まとまったマスになりやすい法人分野ではなおさらです。BREWはもとより優れたアプリケーションプラットフォームであることは間違いありませんが、市場的に判断すれば、こうした「KDDIならでは」の特性(=強み)と複合的に結びついたとき、法人ソリューションの分野において、『キャリアを替えてでも使いたい』と思わせるだけの大きな強みを発揮してくることになるでしょう。
 そうした意味で、私も他の人同様、このcdma20001x EV-DOのコスト体系がどのぐらいのものになるか、大変な興味を持って発表を待ち続けている一人です。

 またBREWについては、国内市場だけに留まらず、海外市場もある程度グロスで考えることもできます。BREWの発表と同時にKDDIは、すでにBREWを展開している韓国のKTF、中国の中国聯合通信とワーキンググループを発足させ、コンテンツの流通と課金などの共通化を目指していく予定としています。(具体的な決定時期は未定)
 少なくとも、この2キャリアをグロスで併せて考えれば、BREWの潜在市場は国内のみで考えるときの倍ぐらいは期待できそうです。今後、こうしたグローバルな「BREW陣営」は、一定の勢力に発展していく可能性は高いと思われます。そういう意味では、最初から国内市場だけでなく、こうしたグローバル市場を目線に入れてサービス展開を模索することも面白そうです。
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