(2002.11.30) ドコモ、iモードオープン化へパケット網インタフェースの提供を開始
ちょっと古いニュース(今月21日)になってしまいましたが、たまにはモバイルジャーナリスト(笑)らしく、
モバイル系のトピックを取り上げてみましょう。最近、モバイルに関する話題が少なかったしね。
このニュース、どうしてもっと騒がれないのか不思議ですね。
モバイル業界のみならず、PC業界にとっても、かなり大きなトピックだと思うんですが。
確かに、まだほとんどの人は実際に目にしたことがないからピンとこないのかなぁ。
iモードの最大の特徴の一つといっても過言ではない、
網認証(IDパスワードなどではなく、
端末の認証によりワンタッチでネットにアクセスできる機能)が、ドコモ以外の企業にも
開放されたということは、かなり大きなニュースだと思うのですが。
(実際は、参入できるのは第一種と第二種の電気通信事業者に限られますが)
こうした、モバイル業界にとってはかなり大きなニュース(のはずのもの)が目立たないってこと自体、
PCインターネット業界に比べて、モバイル業界が、まだまだ質量ともに遅れてるってことなのかもなぁ。
実は、iモード携帯電話っていうのは、ごく少数の端末を除いて、最初から、
「ドコモのiモード」以外の、他のISP事業者の接続も設定できるように作られてるんです。
つまり、一度「ニフティ」とか「ソネット」とか設定すると、ドコモの「imenu」ではなくて、
そうしたプロバイダ事業者の「imenu(こういう名称かどうかはわかりませんが)」に直接接続できるように
なってるってことです。これって、結構すごいことだと思うんだけどな。
こうした、他のISPなどへのキャリア公式メニューの開放は、以前からKDDIなどでは、
ezWeb内のメニューとして、選択できるようになっていました。このKDDIの方式と、ドコモの方式を
比較してみると、KDDIのほうが確かに手軽なのですが、ドコモの方式は、PCなどで、既存の
会員をたくさん抱えているような事業者にとっては、かなり強みになるはずです。
なにせ、メールもWEBアクセスも、ぜーんぶ特定のプロバイダ経由で接続することに、
最初から決まっちゃうんだからね。
言ってみれば、ユーザーが、(たとえば)ニフティと契約したら、そのiモード携帯電話は、
「ニフティ専用携帯電話」に限りなく近づいちゃうことを意味してるんですよ。
この措置は、ユーザーにとってはかなり分かりづらい部分もあるのですが、
プロバイダにとっては、本格的に「PC<>モバイルの連動」を推し進め、なおかつ、自社ISP会員の
効果的囲い込みを行ううえで、大きなビジネスチャンスが訪れたともいえます。
ただし、「iモードの選択肢として、ISPメニューができる」ということではなく、
「ドコモのiメニューを切り離し、全部をそのプロバイダのコンテンツ&サービスにする(メールも含めて!)」
ということになるので、ある意味は、大変な事業リスクを伴うはずです。
要するにこのスタイルは、競合者同士のユーザー囲い込み合戦になりやすいので、
負け組みと勝ち組の差が、相当にはっきり出てくるだろうということです。
うーん。上記の説明、かなり分かりづらいですね。ごめんなさい。
お金もらって書く原稿だと、もうちょっと時間かけて、理解しやすいように文章を練るのですが、
ここは、あくまで「TIPS」なので、
「そっか、三田はこのニュースを重要だと思ってるんだな」程度に理解してもらって、
興味のある方は、上記のニュースリンクを読んでから、じっくり自分で考えてみてくださいな。(笑)
あと、もう一つ。このトピックについては以前から、どのジャーナリズムも全然触れていない
重要な側面があります。
それは、
他のISPが提供するコンテンツについては、NTTドコモは内容を精査・保証しないことになる
ということです。
実は、↑これがある意味でもっとも重要なポイントだと言ってもいい。
どうしてマスコミは、この側面についてもっと書かないんだろうね。
今まで、キャリア公式メニューにはさまざまな制約(アダルト、ギャンブル系コンテンツの禁止、
出会い系サイトの禁止など)があったのですが、今後、ISPが独自提供するサービスについては、
もうドコモは何も言わなくなるんですよ。
つまり、理論上は、アダルトもギャンブルも、出会いも、契約さえすれば、imenuから簡単に
使えるようになっちゃうってわけ。これって、ある意味ですごいことだと思うけどな。
今、参入を検討してる各ISPがどういう戦略を立ててるかよく知らないですが、
オレだったら当然、ドコモのimenuにない部分からコンテンツ&サービス考えますね。
あぁ、このへんのプランニング、すごくやってみたいよ。いろいろアイデアがあるんだよなぁ。