- 過去ログ倉庫:2003年2月
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(2003.2.24)ときどき知人・仕事関係などから「三田さん最近忙しいんだって?」とか言われてびっくりします。

一体誰が言ってるんだよそんなこと。全然忙しくないのに。(笑)

実際のところ、僕はここ1年あまり、大して忙しくないんです。何せ、意に沿わない仕事は断るという、フリーにはあるまじき行為を結構やっちゃってるので。(フリーは、来た仕事はえり好みしないで引き受けないと、次から話そのものが来なくなる)
日曜日はほぼ必ずちゃんと休んでいますし、徹夜もしません。それどころか、結構昼寝なんかもしてたりします。ここ最近はずっと一貫して「自分から営業はしない」という方針を取ってきたせいもあり、ライターとしては暇なほうだと思います。
時々自分でも、よくこれで飯が食えてるなぁと驚くほどです。(笑)
でも、日本人って(って、他国がどうなのかはよく知らないけどさ)真顔で、「忙しくないです」とか言うと、まるで、あほな奴を見てるような目で見られるんだけど、これってどうしてなんだろうか。(笑)

「営業しない」という方針についていうと、『何か書かせてくれ』とか、『オタクの仕事をさせてくれ』などの類は言わないということで、勿論、記事や本の企画を持ち込んだりなど、「コレをやれせてくれ」ってことについては勿論言ってます。何かを「提案する」ってこと、それ自体はもう大好きですしね!

ここ1年ほど、何故に「営業しない」という方針を取ってきたかというと、実際のところ、営業しても効率が悪すぎるんですよね。
僕がメインにしてるモバイル関係というのは、実際パソコンやIT全般に比べるとかなり小さな市場なんです。すると、ヘタに営業してもニーズがあわないことが多いし、トップ会談して一気に「じゃ、やりましょか!」っていうのでない限り、現場担当者レベルは大半、「自分に与えられたミッションをどうやってこなすか」ってことで頭がいっぱいな人がほとんどで、新たに接した人を見て、自社の潜在的ニーズに照らし合わせて「新たに仕事をクリエイトする」なんてことのできる人はとっても少ない。(そういうことができる人は、さっさとそこを辞めて独立しちゃうので、これまた、こちらからみると仕事にならない(笑))すると、ヘタに営業続けても、かえって相手にヘンなプレッシャーを与えちゃう場合すらあるんですね。
営業しない効用ってのはもう一つある。上記のようなコトを言うてると、当然、仕事でもプライベートでも「間口」はとっても狭くなってしまうわけですが、間口そのものは、そんなに広くなくていいの。「なんでもやります」よりも、「この部分なら絶対にいい仕事するよ」の方が、結果として「顧客満足」になる場合が多いんだよね。何よりも自分にムリしてなければ、それは当然そうなる場合が多いわけ。

というわけで、僕は(目下のところ)割と暇ですので、プライベートでも仕事でも、何かあったら声かけてください(笑)>ここを見てる方
‥とか言っておかないと、『何か忙しそうだからなぁ』とか、無用な遠慮されちゃつまらないですから、一応書いておきました。でも、「とりあえず来てくれ」とか、あんまり気軽に呼びつけられるのも、これもまた困っちゃうんだけどね。(笑)

(2003.2.24)ドコモ次モデル505iのFLASH搭載の話。

FLASH搭載、悪くない。悪くないさそりゃ。FOMAとか、あるいはauが今年からはじめるEV-DO(最大2Mbpsで、通信コストがかなり下がると見られている)でやるなら、そりゃ「おお!いいねぇ」って話だろうさ。でも、PDCだよ?128バイトあたり、0.3円で課金されるんだよ?

FLASH搭載サイトが出たところで、505iを買った人が喜んでFLASHを見るのは、最初の1〜2ヶ月ぐらいでしょうよ。FLASHっていっても、多分、固定BB環境で生きるPC用のFLASHみたいな重いデータではないんだろうね。そんなのをバカスカ使ったら、あっという間にパケ死しちゃうよ。

もともとケータイサイトでは、PCサイトではあまり使われない「マーキー機能」(文字が横からスクロールしてくるやつね)とかがよく使われる傾向にある。(僕の、FOMAdeTVのiモード版でも使ってます) PCサイトだと、マーキーはネスケでは効かないなど問題があるからあまり使われないけど、ケータイの場合は、「狭い画面でなるべく多くの情報を流せる」っていう効用が重視されるわけで。FLASHも、そういった「改ページせずに時間をずらして多くの情報を表示できる」っていうメリットに対して使われていく可能性が高いんだろう。唯一例外があるとすれば、iアプリなど、パケット圧縮が効く場所でのFLASHは、本来の表現力を活かせるかもしれないとは思うけどな。たとえば、天気予報のアニメーションみたいな、最初にFLASH部だけすべてダウンしておけば、後はやりとりするデータ自体は内部データだけみたいなサービスにはとってもいいんだろうと思う。

でも、いずれにせよ、もう505iは何をやっても、パケットコストの面でムリがありすぎると思うよ。データが重くなればなるほど、気軽に使うのが怖くなるに決まってるんだから、キャリアが期待してるほど一般のCPが、FLASH採用を進めるとは思えないね。

まずはサービスよりもコストでしょう。コストが成り立ってりゃ、どんなサービスだって必ず成立するんだと思うよ。

(2003.2.23)うぉ〜。誰かなんとかしてくれ。三菱自動車CMの選曲センス。

とってもオリエントなコブシばりばりの「元ちとせ」に、なぜ洋楽のカバー英語で歌わせる?彼女の歌唱法に英語はまったく合わないし、オジサンがカラオケ唯一の英語レパートリ「マイウェイ」とかを熱唱するの図じゃあるまいし、こぶしの利いた「Over The Rainbow」なんて気持ち悪くって聴いてられないよ。どうして素直に、オリジナル曲を歌わせてあげないんだろう。あれじゃ元ちとせが可愛そうだよ。
この気持ち悪さって、昔、石川優子とチャゲがデュエットした「ふたりの愛ランド」のサビ部分で「あい、あい、あい、あい、あいらんどお〜〜♪」と、思いっきり「island」の最後に母音つけて唄っていた、あの気持ち悪さ、あのダサさを想起させるものがあった。
(脱線するが、カラオケで『ふたりの愛ランド』を歌うヤツは、オレは「ぜってーに友達になれない」とか思ってしまう)

あと、どうして、娘と遊ぶおとうさんのシーンを使うCMのBGMが、「レイラ」なんだ?気持ち悪いちゅうの。
当時の親友ジョージ・ハリスンの奥さんだった、パティ・ハリスンに横恋慕したエリック・クラプトンのひそかな感情を吐露した曲だとわかった上で、なおかつこの曲を選んだんだろうか。しかもクラプトンは、結局パティと破局して、またジョージハリスンと仲直りしてるんだよ。この曲には、そーいうドロドロが渦巻いてるんだってことを、この選曲者は知らないか、もしくは気にしないで選んだか、どっちかなんだろうなぁ。
およそ世界でもっとも、平和な家族のシーンに似合わない曲だよ。もう、画面とのアンバランスが気持ち悪くってたまらんのよ。この曲がBGMに使われるだけで、なにやら清楚な女の子まで、その裏に何かまがまがしいヘンな意味が隠されてるんじゃないかとか勘ぐらせてしまうという効果を生んでいる。何せ放映される量が多いので、TVからこの音が流れるだけで、画面を見ていなくても嫌悪感を覚えてしまう、マジ勘弁(若者風言葉)。

こうした一連の、大昔のトップ30をテキトーに聴いてた程度の認識で選んでることが丸わかりな、きわめて底の浅〜いCMソング選曲。もはや企業としての「品格」を問われるレベルのひどさだと思うよ。日産あたりもかなりCM選曲がひどいけど(どうしてLenny Kravitzで、よりによって一番評価の低いアルバムの「Rockn`roll is dead」なんちゅう、素人臭い選曲をするのだ) どちらの会社のCMも、TOYOTAのCM選曲のすばらしさとは好対照をなしてると思う。(改めて聴いてもらえば分かるが、トヨタのCMってほとんど新曲かオリジナルで、手垢の付いた耳慣れた曲なんかほとんど使ってない。業界トップシェアの会社なのに、こういう「攻め」の姿勢って凄いって思うんだけどね)

なんだか最近の三菱自動車のCMって、どう見てもシャチョー行きつけのクラブの馴染みのホステスを喜んで出演させてるとしか思えない「ツカサのウィークリーマンション」のCMと、ほとんど大差ないレベルに見えるっすよ。

(2003.2.20)一個下↓のTIPSを書いたところ実際に連載をされてる執筆者の方からメールが来ました。

そのメールを読んでわかったのですが、ひとつだけ、訂正というか、追加しとかなくちゃならない事項がありました。
日経BP社の、読者投稿システムを設けてるサイトのすべてがそうなのかどうかはわかりませんが、僕にメールをくれた執筆者の方のコラムでは、読者感想の掲載は、編集者だけじゃなく、執筆者の了解も得た上で掲載しているようです。


あれっ、それならオレが勝手に怒る理由ないぢゃん。。。。(^_^;
というわけで、執筆者の方が自分で判断されて掲載してるのならば、外野の私なぞには、もう何も文句なぞはございません。
関係各位の皆様大変失礼しました。取り急ぎ、補足でした。

(2003.2.19)付き合いがある出版社なので言いたくないんですが、これはやはり、ちょっと思うところがあるんだよねぇ。

日経BP社がWEB上で展開している各分野のサイトなんですが、(すべてのサイトを確認したわけじゃないけど)数ヶ月前より、コラムなどの連載に対して、「この記事はためになったか?」とかアンケートを取って公開したり(サイトによっては非公開のところもあり)、あとはコラムに対するコメントを無記名で投稿して、誰でも閲覧できる機能を付加してるようです。(さすがに何でもフリーパスじゃなく、編集者のチェック入れてから公開してるようだけど)

WEB上のコラムとかについて感想や論評ができるのは、確かにインターネットならではのダイナミズムだとは思う。でも、実名やプロフィールを公開してコラムを執筆している人に対して、匿名の論評をWEB上に掲載してしまうってのは、ちょっと礼儀に反するんじゃないか?

多くの執筆者は、どこかのメディアでモノを書いて公開している以上、それなりの「リスク」を負っているわけです。実際、ちょっとでもヘンなことを書こうものなら、すぐに当該文章のリンク付きで、「知識不足だ」とか槍玉に挙げられたりするし、ヘタすると内容を曲解されて、本筋に関係ないところで抗議のメールが送られてきたりもする。さらには「よくわからなかった。ホントかねぇ」などという、読む側のの認識力の問題であるところまでをコッチの落ち度であるかのように言われたり、そりゃもうあなた、一度パブリッシュしてしまえば、あとはもう言われ放題なわけですわ。
でも、それはある意味で当然。コチラも「仕事」として署名原稿をやってる以上、発言に対して一定の責任が伴うことは自覚の上でやってるわけですから、でも、名も名乗らない奴に突っ込み入れられるのは、まるで暗闇で後ろから頭殴られてるような気分であることはやはり事実ですわ。
それをさらに他の読者と「共有」しようっていうんだから、「じゃそのサイトは、そもそもどうしてその執筆者に書かせてるわけ?」とか聞きたくなっちゃいますね。こういうサイトは、いっそのこと、編集方針やサイトのあり方そのものも公開アンケートして、ちゃんと「匿名の」感想でも掲載してみたらどうだろう?

実際、それらの感想を見てみると、読者にとってツッコミがしにくい内容、たとえばかなり遠い未来ビジョンの話題とか、その筆者ならではの鋭い指摘などについては反応がない場合が多く、誰でも簡単にツッコミやすい部分に関しては、あっという間に、「それ、間違ってます」みたいな感想が多く書かれるのね。
大体、世の中の鋭い洞察の多くには、往々にして、ある程度の誇張や曲解が含まれているものだと思う。それこそが筆者の「視点」ってやつなんであって、逆に言えば、何もツッコミどころがない文章なんて単なるニュース記事みたいなもので、文章としての存在意義があるのかと思ってしまう。
ひと事ながら、こういう愚にも付かないツッコミがズラズラ並んでるのを読むと、腹立たしさを禁じえないんだよね。

おおよそどんな商業的媒体でも。批判したり叱責したり、槍玉に挙げることができないタブーってのは、実は天皇でもなけりゃ政府でも大企業でもなくって、要するに実は「読者」なんですよね。世間の多くの人ってのは、自己否定するために本や雑誌を読むんじゃなくて、安心したくって読んでる人が多いんだからさ。

週刊ポストや週刊ゲンダイなんかには、是非一度、「今まで政府やら企業やら芸能人やら、いろいろと文句書いてきたけど、実は、こんな雑誌をカネ払って読んでるお前が一番ダメ」とかいう特集やってほしいと思うよ。絶対やらないだろうけどさ。
やれやれ、こういうこと書いてるから俺は世間が狭くなるんだな。(笑)

(2003.2.16)バレンタインデーにプレゼントされたのは2月14日新発売の「GameBoy ADVANCE SP」(笑)(新しいFOMA「F2051」で撮影)

これ、久々に「持っていてうれしいゲームマシン」って感じです。フロントライト搭載、バッテリ駆動、どこかPDAっぽい質感。このマシンを使った動画配信サービスなども予定されているとか。一体どんなものになるんでしょうね。

(2003.2.16)日本MNOの松田社長にインタビューをしました。

このインタビューは、次号の「月刊サイゾー」にて掲載されます。興味ある方は、ぜひご一読を。
P2Pファイル交換サービス「ファイルローグ」でレコード会社10社、そしてJASRACなどの原告連合と、孤軍奮闘、裁判係争中の同社ですが、先般の中間判決では敗訴となりました。しかし、このサービスそして裁判によって、改めて問題提起されたことは数多くあるように思います。

以前、日本ではじめて開催された本格的P2Pカンファレンスで同氏の講演を聞いたときから、僕は、同氏が物議を醸すことを承知で、何故こうしたファイル交換サービスを公然と開始しようとしたのか、その背景にあるものについて、ずっと大きな興味を抱いてきました。
コンテンツの著作権を巡る「放送」と「通信」での解釈の違いなどついて、元ディレクTV社員だった同氏が大きな懸念や矛盾を感じていたことが、こうしたサービスを開始した動機の背景としてあったように感じられました。

ファイル交換サービスそのものの法的解釈などについては、すでに他メディアで出尽くした感がありますが、今回のインタビューではむしろ、同氏が何故、こうした「ドンキホーテ的起業」をしようとしたのか、その個人的心情などについても触れながら、同時に知的コンテンツ著作権の今後などについて、再考する記事になればいいなと思っております。

(2003.2.15) Windows Media Playerが、「9」にバージョンアップしましたね。(Macユーザーの方ゴメン)

早速使ってみて驚いたのが、メディアライブラリー中の楽曲(CDでもMP3でも)を、個別に5つ星で評価する機能があるのね。これって、インストール時に、インターネットへのデータ送信を認めるほうを選択しとくと、自分の評価も投票されるんだろうか。
ちなみに今聴いてる、RUSHの「The Spirits of Radio」(笑) は、2つ☆だそうです。2つ星とか言われても、音楽の好みなんかあまりにも極私的なモノだから、つい、『トリビアの泉』風に、「へぇ」っと、脱力したリアクションしか出てこないんですけどねー。

あと、もうひとつだけ気になったことがあるんだけど。WMPのバージョン9では、今流れてる楽曲を勝手に検索して、曲が収録されてるアルバムのジャケットを自動的に表示するなどという、なんともスゴい機能が付いてるんだけど、いつの間にかこのジャケットがJPEGファイルになって、自分のPCに蓄積されてたりする。これには驚いたね。

ねぇねぇ、これってさ、アーティストの肖像権侵害の恐れはないんだろうか? 誰か分かる方居たら僕に教えてください。
現在の著作権法では、たとえばレンタルCD屋で借りたCDを、自分のパソコンにMP3として落とし込むこと、これは「合法」なワケですが、CDが売っているコンテンツとは、あくまで「楽曲」なのだから、ジャケットの写真についても「個人的なコピーはOK」ということになるんだろうか。
でも、この勝手に蓄積されるファイルは、自分でコピーしたわけじゃなくって人が勝手にコピーして、こっちのPCに送りつけてくるわけで、こうしたJPEGファイルを僕が「所有」することは、楽曲コンテンツを合法的に入手している以上、自動的に、僕の権利として認められる性質のものなんだろか?
これは実は問題なんじゃないかとちょっと思ったわけ。‥んー、多分問題ないんだろうね。って、自問して自分で結論出してりゃ世話ないよ。

というのも、最近こんなニュースがあったから、ちょっとそう思ってしまったんですよね。
コナミという会社は、露骨な版権囲い込みで一部では批判されてるけど、要するに野球選手たちの言い分は、「われわれが売ったのは、ゲームソフトで実名と成績データを使っても良いという権利であって、肖像権は含まれない」っていうことなわけ。
最近のプレステ2とかは、確かに本人そっくりの3Dキャラクターを使うから、「CGの肖像権の帰属」なんていう、ファミコンの頃にはまずありえなかった問題がいろいろと出てくるわけですね。

まったく、世の中が進化すると、想いもよらなかった問題が次々と出てくるものですね。ほんと。

(2003.2.10) ドコモ、今夏をめどに出会い系サイトに閲覧規制

上記は、モバイル系ニュースサイトの業界定番、「ZDNet mobile」の見出し&リンクです。
何よりもまず、見出しの付け方がぜんぜん間違ってるよ。本当はこれ、「ドコモ、今夏をめどに未成年者のインターネットアクセスを禁止に」とすべきなんだ!そう書いたら全然イメージが違うでしょ?
出会い系サイトを規制するために、父兄から希望があった場合に限り、ドコモの公式メニュー以外の、インターネットへのアクセスをできないようにすることすら検討してるらしい。もしそうなるとしたら、実際とんでもなくバカげた規制だよ。しかも「規制するにはこういう方法しかない」とか言ってるらしいじゃないの。そんなこたぁないですよ。やる気になれば、他に方法なんかいくらでもあるってばさ。要するに、出会い系サイトケシカラン!とか言うてる老人たちに、「対策しましたよ、こっちには責任ないですよ」ってことをわかりやすくアピールすることのほうが大切なんでしょ。

あらかじめ述べとくと、僕は、18歳未満の児童に対して出会い系サイトの利用を禁止することははっきり賛成です。こういったサービスには、メリットとリスクの両方があるから、自己責任で対処できる年齢に満たない児童には使わせるべきじゃないと思う。

以前からずーっと言い続けてるコトなんだけど、 「出会い系サイト犯罪の急増」の背景に、「出会いそのものの総数の急増」があるのは明白。つまり、「少数の不幸な事故」の背後には、統計に出てこない部分で、無数の「幸福な出会い」があるわけ。ちょっと古い統計だけど、2001年にマクロミルが行った調査によると、出会い系サイト利用者のうち、「実際に何らかのトラブルに遭遇したことがある」と答えた人は、利用者全体の3%程度しかいないんです。
仮に、自動車を運転している人に「実際に何らかのトラブルに遭った事がある人」を聞いたら、やっぱり3%ぐらいになる。また、こんな統計はなかなか存在しないだろけど、街でナンパされた相手とそのままデートしたことがある人に、「実際に何ら可のトラブルに会ったことがある」人も、やはり3%ぐらいはいくだろうと思うのね。要するに出会い系犯罪は、そのメリットがまるで理解されてないから、リスクしか見えてこないってだけなんだろ。
20世紀初頭、イギリスでは「自動車はスピードが出て危険だから、公道を走るときは、必ず前に人か馬を走らせて“自動車が来るぞ!”と先触れさせなければならない」っていう法律があった。出会い系サイトを規制するために、18歳未満にインターネットアクセスを禁止するなんて、これと同じぐらいバカげた規制だよ。そんなに出会い系が危険だっていうなら、その前にまず、商用以外の自動車使用を禁止しなよ。何せ、2002年の交通事故死者は9000人弱。これで「例年よりもずっと減った」って、政府は喜んでいるんだよ?

出会い系サイト犯罪っていうのは、(前から何度もここでも書いてるけど)実は誘拐と同じで、証拠がばっちり残るから、大変に「割に合わない犯罪」なのね。かつての連続婦女暴行殺人の大久保事件や小平事件なんかに比べたら、とっても検挙されやすい犯罪だと言えるの。
つまりさ、出会い犯罪が急増しているのは、「IT社会の暗黒面」とかじゃなくって、「利用者のITリテラシーの欠如」が生んでる犯罪なわけ。 顔が見えないから、なんとなく犯罪に走りやすいっていうことらしいけど、実際はメールも通話も、記録はばっちりとデジタルに残ってるんだから、こんなに証拠の残る犯罪行為はないんだよ。そんな程度の認識すらないやつらが、犯罪に走るわけでしょう。
つまり問題の本質は、むしろ教育にあるんだよ。

一体、人生で一番多感で吸収力のある10代のうちにインターネットを体験することが、いかに次世代を担う「少数の」優れた日本人を育成するかと考えると、こういう、まさにクソミソ一緒な規制だけはカンベンしてもらいたいと思う。確かにね、インターネットには掃き溜めみたいなクダラナイ場所も多いから、平均すれば多くの少年はよりアホになるかもしんない。でも、全体のうちわずか5%とか10%程度の、システムを有効に利用できるものが育つ可能性まで摘んでしまうのはやめてほしい。どうせ今の脱工業化社会、ごく少数の突出した者が産業を生み出していくんだから。今日、日本がすっかりダイナミズムを失って停滞してるのは、そういう多様性を認めないで「みんな一緒だねー」みたいな、一億総仲良しクラブ状態のままでいることが原因なんじゃないか。
報道するマスコミの態度も困ったもんだ。自分たちは大人だから、子供がインターネットを使えないことに対して無頓着もいいところだと思う。

前から言ってるんだけど、携帯電話はパソコンと違って、自分でブラウザ情報を書き換えることができないんだから、まずは18歳未満には、「18最未満」ということがすぐわかるブラウザ情報を持った携帯を売ればいい。それで、出会い系サイト業者は登録制にして、18歳未満のブラウザ情報でも入れるようにしてる業者は、即座にタイーホしちゃうように法律を整備すりゃいいんだよ。そのぐらいの規制は半年ぐらいあればできるだろ。とにかく、現在の規制案は、肝心の18歳未満の児童のことなんか、考えてるようで何も考えちゃいない。ただ、老人のヴォケ頭でも理解できる範囲のやり方で、予定調和的に決められた措置に過ぎんよ。まともなインターネット事業者にとっても、もちろん大打撃になりかねない。
このことについては、微力だけど(ホントに微力だな)他でも声を大にして言っていくつもりだよ。

(2003.2.7)昨日は、モバイル業界に面白いニュースが多数あった日でした。

出会い系サイトに法的規制の動き
フュージョンコミュニケーションズ、「固定→携帯電話」1分20円の格安プランを発表
@niftyが、MVNO事業に参入、DDIポケットの回線卸売りにて複合接続サービス提供

これらは、どれ一つとっても、コッテリと論評&考察に値する大きな動きばかりだと思います。今チョット時間がないんでアレなんですが、(アレってなんだ)今後、個別にこのTIPSでも斬ってみたいと思っております

とにかく、出会い系サイト法規制については、1年以上前からずっと、こういうことになるのではないかと危惧しておったのですが、やはり「臭いものにはフタ」な、事なかれ主義的場当たり的対策になりそうなことに憤慨しております。具体的措置が実施されると、最悪の場合、18歳未満の少年は携帯電話からインターネットを見ることができなくなるということになります。
これは、「高速道路に事故死が多いから高速道路に乗れないようにしてしまえ」という思想に近い。この件については、ここだけでなく、日経パソコンの連載でも、2回にわたって徹底的にやる予定なので、あちらが読める方は是非読んでやってくださいまし。

 
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