- 過去ログ倉庫:2003年5月
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(2003.6.20訂正) どうも、このTIPSの記述で、いくつかの方に誤解を与えてしまったようです。お詫びして補足いたします。
(2003.5.29)むかし同僚で、そして一時期は僕の会社の契約社員だった男から突然電話が来ました。


むかし僕が在籍していた「クエスト」という会社(ゲームマニアな人なら知ってる名前かも)ではデザイナーを、そしてそこで大ヒット作を創ってからは、スクウェアに引き抜かれて、部長・プロデューサーにまでなった男です。(同氏はすでに数年前に同社を退職している人物です。)、彼が、「相談したいことがある」と思いつめた調子で電話してきたのです。

彼いわく、今某社からゲーム開発のプロジェクトのプロデュースを依頼されているが、引き受けるかどうか迷っているということ。
「もう、ゲームに対して興味も情熱も持てない。悪い仕事ではないけど、カネだけのために引き受けていいのか、自分で決められなくて」と彼は言います。

ゲームビジネスをやっていた人間は、現在(かつての僕自身も含めて)こうした悩みを抱いている人は少なくないだろうと思います。僕には彼の悩みがよくわかります。なにせ、この4年間でコンシューマゲームビジネスというのは、毎年平均して10%づつも市場が縮小し続けてしまった。つまり最盛期に比べてゲームソフトの市場は、すでに35%も失われてしまったんです。
この急激な衰退ぶりは、かつての繊維産業や製鉄業をもはるかに凌ぐスピードです。つまり、ゲームソフトビジネスはもうとっくに「超」衰退産業になっているんです。

では、どうしてゲームはかくもダメになってしまったのか?
色々と理由はあるだろうけど、最大の理由は、業界に従事する者たちが「頑張りすぎて」しまったからではないかと思う。日本人は、一旦ルールを創ってもらえると、それに乗っ取って「頑張る」のが得意です。任天堂が築いたコンシューマゲームのビジネスモデルというのは、要するにパソコンゲームにはなかった、「業界秩序」なるものを「創造」し、そこで皆が同列に競争できるという分かりやすいルールを作り出したわけです。
ゲームソフトの値段などというものには、本来100円だろうが10万円だろうが、幾らだっていいはずです。ゲームには「実用性」という側面がまったくないので、純粋に「面白さ」のバリューだけで値段を決めていいはずです。ところが任天堂は、ROMカセットをいくつかのラインナップに分け、「この容量なら幾ら、その容量は幾ら」と価格を設定するところからはじめました。つまり、面白さのバリューを「規格化」して、各社に同一ルールでレースさせる仕組みを作った。
ルールを決められたソフトメーカーは(今風に言えばコンテンツプロバイダか)は、一斉に全力疾走を開始したというわけです。隣を見れば誰かが同じように懸命に走っている。だから、スローダウンしたり休んだり、そして他の方向に走り出すことは、「なんとなく」いけないことのように思えてしまうのでしょう。
まだ元気だった頃はそれでもよかった。でも、一旦業界が成熟期から衰退期に向かっても、このレース集団はあいかわらず心臓を破裂させそうになりながら走り続けている。立ち止まっている余裕はないから、もう競争している相手のことしか目に入らない。最初はさんさんと輝いていた太陽が傾き、日が暮れて観客が一人二人と去っているのに、彼らはまだ疾走を続けている。もう立ち止まって周囲を眺めるだけの視力すら残っていない。

ゲームソフトの企画プロデュースを10年以上やってきた僕の目から見ると、日本のブラウザフォンコンテンツビジネスは、こうしたコンシューマゲームビジネスをさらに10倍ぐらい過酷にしたものだと感じます。違いがあるとするならば、最盛期のゲームソフトメーカーは、1万円という高価でソフトを作って売ることができたが、現在のケータイビジネスでは、ユーザーから頂戴できるお金が、せいぜい月額300円程度でしかないということでしょう。
一人当たり1万円も貰えるなら、「文化」と呼ぶに値する何かを作り出すことはできるかもしれません。しかし、300円で一体何ができるというのか。そんなデフレ価格から生まれるものは、しょせんは「デフレした文化」でしかないと思う。

本当に今この瞬間にも、関係している各人がこんな運命に対して何か行動を起こさないと、ケータイビジネスなんて、それこそ「ドッグイヤーのスピード」で消えてなくなるだろうなと思います。
「IPさんとのWIN-WINモデル」なんて、真っ赤な嘘っぱちですよ。

(2003.5.27)うーん。二週間も更新が滞ってしまった。

先週〜今週にかけては、三田隆治懺悔の週でございました。特にライティング関連。
某記事広告原稿については、項目案出しをすっぱり忘れるわ、せっかくご依頼いただいた原稿は、提示されたテーマが素晴らしいので、つい引き受けておきながら、僕の勉強不足からどうしても納得いく論旨がまとめられず、結果的にこちらからお断りする形になるわ。(N経BPのKさん、本当にすみません。m(_ _)m )いかんですね。反省猿です。

などという舌の根も乾かぬうちに、前評判も上々の「マトリックス・リローデッド」、先々行ロードショーですでに見てきてしまいました。しかも2度も。
マトリックスの良いところは、やはり圧倒的な懐の深さでしょうか。派手なアクションや豪勢なSFXがある一方で、監督のウォシャウスキー兄弟の思想的バックグラウンドは、基本的に80'sなんですね。映画中に登場する人物や地名、船の名前など、ネーミングの端々に道教やニューサイエンス、神秘主義からの影響を見て取ることができる。これが面白い。
前作で話題となり、無数のエピゴーネン(日本のテレビCMでも多数)生み出した「マシンガン撮影」は、今回はアナログ撮影ではなく、フルCGになってしまいました。CGだと、どうしてもあの独特の質感が出ないのが残念。一部今日のCG水準では厳しい部分もありますし、シナリオも少し冗長ですが、(パート2ものは、どうしても1の辻褄合わせになってしまうから仕方ないのだけど)総じて言えば面白かった。

現在発売中の日経パソコン
「三田隆治のケータイ文化時評」テーマは
「缶ジュース買ってお守りゲット?携帯ビジネス巫女産業(ウイッチインダストリー)論」
次回のテーマは、
「やってくるか?ケータイにリセットボタンが付く日」です。  

(2003.5.13)最近、僕自身の提案による、ケータイビジネスの新規プロデュース案件がちょくちょく出てきているんですが、NDAの関係もあり、なかなかここでオープンにお話しできないのは残念なところです。

先日も(とはいってももうGW前ですが)、某M下さんのシンクタンクに呼ばれて色々と話してきたんですが、
そうしたところで僕がお話しすることは割と決まってまして、「ケータイのパケ代を、月に1万円以上使う人のライフスタイルを想像できるか?」という話、そして「パケット支払額が月額1,000円前後未満のユーザーは、ほとんどのモバイルサービスで想定ユーザーと見なせない」という説明からはじまります。
なぜって、何よりもまず、話す対象となる当人(大卒、ホワイトカラー、パソコンユーザー)が、実際のところほとんどの場合、ケータイサービスの「想定ユーザー」ではないからです。

マーケティングの教科書の第一ページ目に書いてあるような話ですが、「全体の2割の顧客が売上の8割を稼ぐ」という法則は、ブラウザフォンサービスを画策する上でもまったく有効な話です。その話をすると、大体は「あぁ、そうだよね」と納得してくれるのですが、実は自らがその「2割」に属していないということは、なかなか実感としてピンと来てもらえない。いや、実をいうと僕だって本当のところは、実感として「理解して」いないのかもしれない。

でもたとえば、美容院(あるいは理髪店)に行って髪をやっている間、美容師さんに「あなた、パソコンやってますか?」と訊ねてみてください。美容師さんが10人いたら、パソコンでインターネットしている人は、僕の話したところでは、2人もいません。大学4年生に会ったら、「ケータイ使ってます?」と聞いてみてください。案外詳しくありません。彼らは大抵、就職活動を期に、パソコン主体のライフスタイルにシフトしていくものなんでしょう。

「3Gのキラーサービスって何だと思います?」というのもよく訊かれます。もちろんそんなこと、僕だって明快に言えるわけないですが、自分なりの「意見」として回答を求められたら、「想定ユーザーが1万人以下でもペイできるサービスだろう」と言うようにしてます。
世間の常識がどうなのか知りませんが、僕自身にとっては、想定ユーザー数が少なくても成立するサービスほど、優れたサービスだとすら思ってるぐらいです。

(2003.5.7)マナーに反する書き込みや荒らしがとても少なかった我が「FOMAdeTV」ですが、残念なことに、アクセスの増加に連れて、段々とそういったものが増えてきてしまいました。今までに、特に悪質なケースで何度も繰り返し削除したことが4度ほどあるんですが、、、

実に不思議なことに、その4度とも、IPアドレスを見てみると、会社の内部からの書き込みなんですよね。

これって一体、どういうことなんでしょうかね。
確信犯的に荒らし行為をしたいならば、自宅から一般プロバイダ経由でカキコしたほうが身元が特定されにくいはずで、何もすぐに会社名が特定できるIPアドレスからワザワザ書かなくても、と思うんですが。
中には、当該法人のサイトを見てみたら、社員数わずか15名ほどの会社までありました。もし、僕がソコに苦情を申し入れたら、恐らくかなりの高確率で仕事中に遊んでる奴がバレちゃうでしょうにね。そこで、「当該IPアドレスの法人に連絡して、直接確認する」旨を掲示板に書いたら、ぱったり荒らしが止んだこともあります。(それはあくまでブラフであって、実際ソコまではなかなかしませんが)
それはそれで、またおかしな話だよね。

実例のサンプル数が少ないので断言はできないのですが、どうも掲示板などで荒らしをやってる人って、意外にあまり知能犯ではなさそうですね。
こうした心理を憶測するに、「自前で悪いことをするのは、身元が特定しづらい一般プロバイダからですら怖いが、会社のIPからならやっても構わない」と考える人間が、掲示板荒らしの一角をなしているのだなと思った次第です。
ちなみに、その4度ほど確認した特定法人からのアクセスですが、中には、名だたる大手企業も結構ありました。

1994年に上梓した「裏パソコン通信の本」で僕は、「パソ通をやるようになってから、電車にあれだけチカンが多い理由が実感できるようになった」と書きました。どうも世の中には、自分の顔が見えなければ、どこまでも下劣になれる人というのは予想外に多いらしい。そして残念なことに、確率的に考えると、自らの知人の中にも、恐らくそういう人は存在しているのでしょう。

インターネットって、人の英知も増幅させるんだろうけど、それと同じぐらい愚かさも加速させるよね、ホント。

(2003.5.6)タマちゃんカッコいい!ボディピアッシングしてるよ!

‥とか言ったらカノジョに怒られました。
僕は左耳に三つピアス穴があります。右耳の方の穴一つは多分もうふさがってしまった。最近、あまりしてないんですけどね、ピアス。
金属かぶれ持ちなんで、ボディピアッシング用ピアス(医療用ステンレススティールを使用している)か、チタンなどの材質じゃないとダメなんですよね。

しかし、GW明けだというのに脱力したTIPSですみません。

(2003.5.2)自宅にパソコンを持っていてもインターネットに繋いでない人って案外多い。不思議だ。

大体どの統計見てもそうなんだけど、自宅にパソコンがある世帯はすでに半数を超えてる。しかし、インターネットを使ってる世帯は、まだ3割ぐらいだったりする。統計によってバラつきはあるわけだけど、パソコンがあってもインターネットを使わない人って、実はかなりいるんだよね。
その人びとは、一体パソコンを何に使ってるんだろう?僕自身は、パソコン通信時代含めると、もうネット歴16年ぐらいになるんで、正直なところネット接続しないパソコンっていうのがあまりイメージできないんだよね。デジカメとかワープロなんかに使ってるんだろうか?

もっと不思議なのが、ブロードバンド環境のネット利用時間なんだけど、月に22〜23時間っていうのが平均値なのね。つまり、ウィークデイに平均1時間程度の利用ってことなんだろうけど、恐らく、このぐらいの利用時間だってことは、多分本当の意味で「常時接続」では使ってないだろうと思うんだ。恐らく、結構こまめに電源落としてるのではないかと。それで常時接続を契約してるのって、何だかとってももったいなくない?正直言ってよくわからないんだけど、こういうことが実感としてわからないっていうのは、我ながらちょっとまずいよなぁと思ってみたりする。いや、決して勿体付けて言ってるんじゃなくって、モノを企画とかするとき、もっとも大切なことって「常識を知る」ってことだからさ。

でもさ、パソコンって結構高いじゃないっすか。でもって往々にしてPCって、詳しい人ほど自作など安く入手してる場合が多いよね。僕のパソコンなんか本体のみなら6万円ぐらいだよ。メモリをむっちゃ増設して、外部HDも80Gバイトぐらいつけてるけど、それでもせいぜい10万円以下。昔に比べて安くなって、ほんとにありがたいよ。大手メーカーの、モニタ込みで20万近くもするようなパソコン買って、しかも常時接続環境で使うのが20数時間だったら、凄くコストパフォーマンス悪い買い物だと思うんだけどな。
僕自身は、ずっと仕事でパソコン使ってきたから、直接に収入のためのツールって部分がかなりあるんだけど、もし仕事に直接関係なかったら、こんなもん、それだけ高いカネ出して使うかなぁって思っちゃうところはある。逆に、もしそれでも使うんだったら、トコトン元を取ってやろうと考えるけどな。
こういう考えって、さもしいのかな?ホントわかんないんだよ。

(2003.5.1)日本のFTTH世帯、いまだわずか30万世帯足らず。日本の地域通貨、すでに300種類以上。

ITビジネスって、時として市場スケールを大誤解してたりするよね。無線LANホットスポットビジネスなんかも、その大誤解の代表選手だったけど。
僕は最近、「そろそろ地域通貨向けのASPソリューションを本気で考えるべき時期が来ている」と各所で言ってるんですが、誰も反応してくれません。(笑) でも、恐らくは、「光ファイバー向けのコンテンツやりましょう」とか「FOMAの動画配信やりましょう」とかいうと、「一応は」話を聞いてくれたりするんだよね。(笑)市場の「なさ」では、どっちも同じぐらい「なし」なのにさ。

今、日本の地域通貨はすでに300種類を超えています。ユーザー数にすれば、そろそろ30万人ぐらいは超えてるはずなんじゃないかと思うんだけどさ。
「地域通貨」っていうと、いまだにNPOとか、「ボランティアでしょ?」みたいな認識しか持ってない人が多いんだけど、まったくの認識不足だというほかないよね。仮にですよ、もし消費税が10%に引き上げられたら、皆何を考えると思う?どうやって、消費税を払わずに商取引を行う方法があるかと考えるはずに決まってる。大きな目で見れば、ネットオークションの隆盛も、「納税しない経済活動」なわけだよ。地域通貨、侮るべからずだよ。ITソリューションと結びついたら最後、地域通貨は凄い力を持ち始めると僕は確信してるんだけどなぁ。

 
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