最近気がついたのだが、使用画像の著作権に不安がある場合、当該サイトへのリンクボタンにしてしまえば、問題にならないのではないかと。
(…だといいんだけどなぁ)
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先日もトップページの「Tips」でちょっとだけお伝えしたのだが、米国はCybiko社のティーンエイジャー向けPDA、「Cybiko
Xtreme」が面白い。
思わず買ってしまったのは、デメ研の主任研究員、亀田さんからのメールで「こんな面白いマシンがあるよ」というご紹介がキッカケだった。メールをいただく前にも一応、このCybikoの存在は知ってはいたのだが、言われみてはじめて、こんなに面白いマシンだと気が付いたのだ。その、自らの迂闊さが悔しくて(笑)、秋葉原はイケショップ(古いAppleユーザーにとっては懐かしい名前だ)のモバイルプラザに出かけて買ってしまったのだ。ちなみにこのCybiko、まだ正規輸入されていないため、国内で購入できるのは前述のイケショップや、秋葉原の1〜2店舗に限られるらしい。ちなみに本国では、Toys-R-Usでも買えるほどポピュラーな機種である。
本国での価格は大体110ドル前後らしいが、イケショップでは25,000円ほどする。
2台購入し、一台は前作の別冊宝島でお世話になった板倉雄一郎氏への誕生日プレゼントとすることにした。昔から同氏は、こういうバタ臭いマシンが好きな人なのだが、案の定バカ受けしていた。
実際、このマシンは極めて面白いのだ。
●PDA、ゲームマシン、MP3プレーヤー、
そして出会いのツール、Cybiko
さて、ティーンエイジャー向けPDAとは言え、Cybikoは米国のマシンらしく、使用環境はUSBポート付きのパソコンを持っていることが必須となる。そのへんは子供向けマシンとは言え、立派にPalm並みのオープンアーキテクチュアな設計である。
本体にはCD-ROMとUSBケーブルが付属している。(このケーブルがまた実に面白く、ケーブルの端を付属のDCアダプタに刺すと、そのまま充電用の電源ケーブルとして転用可能なのだ。なんという合理的設計!)Cybikoは、内部にアプリケーションをほとんど持っておらず、住所録やメモ帳、スケジューラや辞書(子供向けのマシンとは言え、スペイン語辞書がCD-ROMに標準搭載なのが実に米国らしい)などを好みに応じてPCからインストールする構成を取っている。液晶はモノクロ2値だし、スピーカーはピエゾ(圧電)方式で、ハードウェア的には実にプアーだ。漢字表示の必要がない米国ではこれで十分なのだろう。ただし、筐体は十分しっかりしており、写真のようにゲームパッドとキーボードが一緒になったようなボタン構成も、小さいながら案外使いやすい。キーボードのタッチも十分しっかりしており、おもちゃっぽさはない。
しかも、本国であれば購入後、ユーザー登録をすると、拡張スロットに刺して使用するMP3モジュールがなんと無償でプレゼントされる。また、サイビコのサイトには、無償でダウンロードできるゲームソフトが数百本もある上に、なんと開発ツールまでも無償で供給されている。これで110ドルならばお買い得感は高いだろう。
Cybikoの基本的な構成はPalm-OSに似ている。スイッチを入れるとランチャー画面となり、そこに自由にアプリケーションを登録しておけるというのも、Palmなどに似ている。一人で使うにはあまり意味のない機能だが、USBでPCに接続しておけば、サイビコからメールを読むこともできる。(購入者はユーザ―登録を行うと、「***@cybiko.com」というメルアドを一つもらうことができる)
だが、Cybikoが画期的なのは、上の写真にもあるように、このマシンがワイヤレスの無線LAN機能を持っているということなのだ。
●出会いたい条件に合致する相手を見つける機能
電波状態にもよるらしいが、Cybikoは、100m程度までの距離でお互いに通信ができる。メールやチャット、そしてPalmのような「名刺交換」の機能も持っている。チャットでは、自分でルームを開設して10名程度での同時チャットもできるらしい。(「らしい」と書いたのは、何せこの日本ではそんなに多人数で試せるチャンスがないからで、当然僕もまだチャットをやったことはない(笑))
さらに面白いのが、Cybikoは電波圏内に居るCybikoユーザーから、自分のあらかじめ登録しておいたプロフィールに合致する相手が居ると、アラートを発して教えてくれるという機能があることである!登録するプロフィールは、自分のプロフィール、そして、『出会いたい』相手のプロフィール条件の両方を設定できる。性別や年齢層、趣味などの条件を設定しておき、合致する相手が電波圏内に入るとアラートを発して通信状態になるのだ。モノクロ2値ではあるが、顔写真も登録しておき、プロフィールとして相手に閲覧してもらうこともできる。Cybikoは「出会いのツール」でもあるのだ。
もちろん、単なるコミュニケーション機能だけではなく、チェスのようなベーシックなものから、リアルタイムのアクションゲームまで、ネットワーク対戦するゲームも多数用意されている。
「オモチャ」だから、プリスターケース入りなのである。
アメコミチックな感じ。
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●同時に3000台まででネットワークを組める
さらに僕を感動させたのは、ネットワークの発想である。Cybikoはおもちゃのトランシーバー並みの、免許不要の微弱な電波で通信するため、先ほども書いたように電波の到達距離はせいぜい100mぐらいらしい。ところがCybikoは、電波圏内に最低1台でも同じCybikoユーザーが居れば、今度はその相手のCybikoの電波が届く圏内の相手とネットワークで繋がることができる。
その相手もまた同様にネットワークで繋がるのだが、最大3000名まででネットワークを組めるため、一台の電波到達距離を越えて、理屈の上でははるか遠方のユーザーともネットワーク接続することができる。要するにバケツリレーのように、一台一台がネットワークのハブとなることができるのだ。
玩具だというのに、これはもはや完全にTCP/IPの発想である。
●アメリカで「imode」は普及するのか?
従来、『アメリカ人は日本のケータイのようなチマチマしたものは使わないだろう』と言われてきた。確かに、かの地では猫も杓子もケータイを持つというようなことはないそうで、携帯電話はあくまでビジネスツールであると考えられており、女子高生がケータイメールで繋がるようなイメージがあまりないらしい。
だが、Cybikoがアメリカで大ヒットしている状況を見ると、決してアメリカにそうした「ケータイ文化」がないわけではなく、むしろインターネット先進国として、日本などよりもはるかに「モバイルネットワーク」というものに対するイマジネーションが豊かだとあるということを改めて痛感する。そういう意味でも、アメリカにおけるこのCybikoのブレイクぶりはもっと注目されるべきだろうと思う。
さてこのCybiko、日本で普及することはありえるだろうか?
残念ながら、やはり難しいだろうと思う。まず、日本語を使うためにはCPUパワーや液晶解像度などに難点があるわけだが、そのへんをパワーアップしたら、玩具として許容されるコストを超えてしまうだろうし、何よりも、パソコンが必須という動作環境は日本では難しいだろう。そういう意味では、やはりCybikoは日本では好事家のおもちゃであり、実際この「Xtreme」については、国内では多分まだユーザーは100名とかそんな規模だろう。というわけで、僕がこのCybikoで誰かと『繋がる』チャンスは、これからも多分ほとんどないだろう。(笑)
それとももしかして、このCybikoを持って秋葉原を歩いたら、案外誰かとつながれるのかもしれない。でも、どっちかというと、それは僕にはあまり歓迎したくない出会いかもしれない。(笑)
面白いのは、このCybiko社というのは元々ロシアのメーカーらしい。テトリスといい、ロシアという国は時々面白いモノが出てくるね。
ちなみに現在、Cybiko社は既にAOLによって買収されている。ただし、AOLが今後どの程度Cybikoをサポートするのかはまだ判らない。
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